ページ収録用語
NOM (Natural Organic Matter)NOM(Natural Organic Matter)は、水道および環境工学の分野で広く用いられる概念であり、天然に存在する有機物の総称を指します。これらの有機物は、土壌、河川、湖沼、海洋、植物、微生物、動植物の残骸、およびその他の自然環境から由来します。NOMは、水道水や水域の水質評価、処理プロセスの設計および運用、環境の健康への影響の評価など多岐にわたる分野で重要な役割を果たします。
1.NOMの特性
a.複雑な組成
NOMは多様な有機化合物から構成されており複雑な組成を持っています。これには、ヒュム酸、フルボ酸、タンニン、アルケノン、アミノ酸、脂質、タンパク質などが含まれます。
b.光学特性
NOMは特定の波長の光を吸収または散乱する特性があり水の色や透明度に影響を与えます。
c.安定性
NOMは微生物による分解が進まないため安定した特性を持ちます。これは、NOMが環境中で長期間存在する理由のひとつです。
d.影響要因
NOMの濃度や組成は地域や季節、土壌の特性、植生、流域の利用などによって影響を受けます。
2.NOMの影響
a.浄水プロセスへの影響
NOMは浄水プロセスにおいて重要な役割を果たし複雑な組成と特性からくる影響が処理効率に影響を与えます。
b.消毒副生成物の形成
NOMが消毒剤と反応することで有害な消毒副生成物(トリハロメタンなど)が発生する可能性があります。
c.水質への影響
NOMは水の色、味、臭いなどの外観的特性に影響を与え水道水の美観や利用可能性に影響を与えます。
d.環境への影響
河川や湖沼へのNOMの流入が増加すると水質の変化や生態系への影響が懸念されます。
3.NOMの管理と低減策
a.効果的な浄水処理
適切な処理工程や処理剤の選択によりNOMの除去効率を高めることが重要です。
b.適切な消毒剤の選択
消毒においては、NOMとの反応による消毒副生成物の発生を抑制する消毒剤の選択が必要です。
c.水域管理と保護
地域全体の水質管理や土壌保護、適切な排水管理がNOMの環境への影響を低減する上で重要です。
NOMの理解と適切な管理は、安全で清潔な飲用水の供給や環境保護に向けた努力の一環として継続的な研究および取り組みが求められています。これにより水質の維持・向上と持続可能な水循環システムの構築が実現され人々の生活や環境に対する影響が最小限に抑えられます。