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消毒副生成物
消毒副生成物(Disinfection Byproducts, DBPs)は、水道処理プロセスで消毒剤が水中の有機物と反応することによって生じる化学物質の総称です。消毒副生成物は水の消毒に不可欠なプロセスであるが、同時に健康や環境に潜在的な影響を及ぼす可能性があります。以下では、消毒副生成物についての詳細な情報、生成機構、主な種類、健康への影響、規制、および低減対策について説明します。

●消毒副生成物の生成機構:
消毒剤の使用: 水道処理において一般的に使用される消毒剤には塩素、臭素、オゾン、塩素系薬剤などがあります。
有機物の存在: 水中には天然の有機物が含まれており、これらの有機物と消毒剤が反応することで消毒副生成物が発生します。
消毒剤の種類による差異: 使用される消毒剤の種類によって生成される消毒副生成物の種類が異なります。
●主な消毒副生成物の種類:
トリハロメタン類(Trihalomethanes, THMs): 塩素と有機物の反応により生成され、クロロホルムやブロモジクロロメタンなどが含まれます。
ハロアセトン類(Haloacetic Acids, HAAs): 塩素と有機物の反応により生成され、クロロ酢酸やブロモ酢酸などが含まれます。
ハロアミン類(Haloamines): 塩素と尿素やアンモニアなどの窒素含有物質の反応により生成され、モノクロロアミンやジクロロアミンなどが含まれます。
臭素系消毒副生成物: 塩素と臭素が存在する場合に生成され、臭素酢酸や臭化アセトンなどが含まれます。
●健康への影響:
発がん性の懸念: 長期間にわたる高濃度の暴露は、特にTHMsやHAAsなど一部の消毒副生成物において、発がん性の懸念が指摘されています。
生殖毒性と発育異常: 一部の消毒副生成物は、生殖毒性や胎児の発育に対する悪影響があるとされています。
泳いだり入浴する際の暴露: 消毒副生成物は水道水がプールや浴槽に使われる際にも生成され、皮膚への吸収や蒸気を通じての吸入により暴露が発生します。
●規制とガイドライン:
米国の規制: 米国環境保護庁(EPA)は、THMsやHAAsなどの消毒副生成物に対する規制を設定しています。これらのガイドラインは、飲料水中の消毒副生成物の濃度を一定の範囲内に制御することを目的としています。
世界的な規制: 他の国や国際的な組織も、消毒副生成物に対するガイドラインや規制を設けており、水の品質の向上と健康への悪影響の最小化を目指しています。
●低減対策:
高度な浄水技術: 高度な浄水技術や逆浸透膜などを使用して有機物や前駆物質を効果的に取り除くことができます。
消毒剤の最適化: 消毒剤の使用量や種類を最適化することで、消毒副生成物の発生を最小限に抑えることができます。
非塩素消毒法の採用: 塩素以外の消毒剤や非塩素消毒法の導入が、消毒副生成物の低減に寄与します。
●研究とモニタリング:
新たな消毒副生成物の特定: 新たな消毒副生成物の発見や影響の評価が継続的に行われ、安全な水供給の確保に向けた研究が進められています。
水質モニタリング: 消毒副生成物の発生を把握するために、水質モニタリングが定期的に実施されます。この情報は水道処理プロセスの改善や調整に活用されます。

消毒副生成物は水道処理において欠かせない一方で、その生成物が引き起こす懸念も存在します。したがって、水道システムの運用者や政府機関は、水質を定期的にモニタリングし、最新の技術やガイドラインに基づいて水の安全性を維持するための対策を講じる必要があります。


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